広辞苑を読む。『あ』編 その2

広辞苑を読んで、気になった単語、初めて識る単語を深堀りしていきます。

本日は『あ』の続き、第二回です。

あいせい(愛婿)

お気に入りのむこ。

コメント・メモ

婿(むこ)は「せい」とも読むのですね。なお、娘婿の呼び方ですが、最近結婚した男性は、花婿 ・ 別当 ・ 新郎というそうです。
自分の結婚式を挙げる男性(=未来の夫)は、花婿 ・ 花むこ ・ 花聟 ・ 新郎などと呼ぶそうで、結婚してからは基本的には、婿(むこ)になります。結婚後の呼び名も、もう少しバリエーションがあったらおもしろいのにな、と思います。

アイデンティティー

人格における同一性。ある人の一貫性が成り立ち、それが時間的。空間的に他者や共同体にも認められていること。自己同一性。同一性。主体性。

コメント・メモ

高校生のときに、この言葉の理解に手こずったのを覚えています。代ゼミの講師が編集している『MD現代文・小論文』という大学受験のための辞書の解説が、当時、理解を助長してくれたのであわせて紹介します。

アイデンティティー

自分の本来あるべき姿。自分自身で納得できる自己愛のこと。職業などの社会的地位や、自己に対する他者からの評価よりも本人にとっては大切で、各人が真に追い求め、現実にそうありたいと願う「本当の自分」。自らの存在や言動を確立し、自己肯定するにあたり、今日では道徳や倫理、世間体などと並んで、特に重要な基盤をなす。

あいのおんな(間の女)

茶屋女でもなければ遊女でもない、どっちつかずの女。

コメント・メモ

遊女は娼婦、いまでいう風俗嬢のことですね。茶屋女がわからなかったので調べてみました。

茶屋女

料理屋や色茶屋などで客の接待をする女。茶屋者。多く色茶屋の者をいう。三省堂『大辞林』より

現代でいうキャバクラ嬢やスナック嬢に近いのでしょうか。まとめると、間の女とはときにキャバ嬢、ときに風俗嬢、ということでしょうか。 どっちつかずの女、というけれどそれは気まぐれな風俗嬢のような…。ちょっと解釈に自信がないですが、これ以上はわかりませんでした。

あいのすさび(間の遊び)

きまた仕事の合間にする慰み事。

コメント・メモ

こちらもイマイチぴんとこなかったので調べてみました。慰み事は「気まぐれにすること。」という意味らしいです。うーん、いわゆる趣味のことでしょうか。手元の辞書や資料ではこれ以上わかりませんでした。もう少し説明がほしいところですね。

あいぼれ(相惚れ)

男女が互いに思い合うこと。相思相愛。

コメント・メモ

惚れるっていう単語ってほどよく曖昧で、でもずるい曖昧さがなくていいと思うんです。
「好き」だと、恋としてなのか友情としてなのか少し曖昧で、でも「愛してる」という言葉は片思いや恋人としての時間が浅いうちは、なんだかしっくりきません。惚れていると伝えるのは潔いうえに、言葉に対する正確さを維持しようとする誠実さを感じます。
恋人になる、付き合う、といった表現と似た感じで、「相惚れする」という表現が流行しないかな、と思います。

あいまって(相俟って)

互いに作用しあって。両方の力が合わさって。

コメント・メモ

よく目にする表現ですが、このような漢字を書くのだな、と気になりました。「俟つ」にはいくつか意味がありますが、この場合は以下の意味だと推測されます。

…によってうまく解決することを願う。…に望みを託する。期待する。「…をまつ」「…にまつ」などの形で用いる。 「後考こうこうを-・つ」 「君の自覚に-・ちたい」 「国民の良識に-・つ」 「今後の研究に-・つ」 「さりともと見し影も-・たれず/山家 秋」三省堂『大辞林』より

お互いが期待すると、両方の力が合わさる。なんだか希望に満ちた言葉です。

あいやのほろほろ

江戸時代、幼児をあやす語。「あいや」は歩行、「ほろほろ」は調子をとるために添えた語という。「あんよは上手」ほどの意。あいやのほろろ。あいやのぼらぼら。

コメント・メモ

ことばの響きがかわいいです。なんで「ほろほろ」なんでしょうね。これから歩きはじめるであろう我が息子に使ってみようかと思います。

あいろ(文色)

(アヤイロの約)様子。ものの区別。文目(あやめ)。

コメント・メモ

いまは使わなくなってしまった言葉ですね。個人的に、「様子」という言葉は範囲が広く使い分けができないので、ものに限定した「様子」に代わる表現として、復活してほしいな、と思います。

あうはわかれのはじめ(逢うは別れの始め)

逢えば必ず別れがある。無常のたとえ。仏教でいう、会者定離(えしゃじょうり)。

コメント・メモ

井伏鱒二の名訳曰く、「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」です。自分の人生観を支える言葉なので、いろいろな表現で覚えておきたいです。

あえか

かよわく、なよなよとしたさま。たよりないさま。

コメント・メモ

知らない言葉でした。古語のようですね。調べてみると、わりとネガティブな意味なので、主に男性に使う言葉のようです。

と、本日はここまで。『あ』編、先は長いです。
あ編が終わったら、一度あ編の総集編をしたいな、と考えています。

バックナンバーはこちら

広辞苑を読む。『あ』編 その1

広辞苑読破状況 … 10/2772p