本屋をやっていると、「おすすめの本は何ですか?」とよく聞かれるのですが、これはむずかしいですよね。全部おすすめですよ!と言いたいのですがそういう訳にもいかず。
今回は絵本ではなく、児童書の本気のおすすめを1冊ご紹介したいと思います。
…ものすごーーーく悩んだ末の本気のおすすめの1冊はこちらです。
『トンカチと花将軍』 舟崎克彦・舟崎靖子
初版は1986年。とても古い日本の児童書です。
でも文句なしにおもしろいです!
あらすじ
犬のサヨナラを追って森の奥へはいっていった少年、トンカチは、「あねもね館」に住む「将軍」とシャム猫のヨジゲン、あらいぐまのトマトなどの奇妙な連中に出会います。みんな親切にサヨナラをさがしてくれるのですが、おかしな事件に次々とまきこまれて…。ユーモアあふれるファンタジーです。小学校中級以上。 引用Google Books
なんといっても登場人物が魅力的。
特にぐっとくるのはそのネーミングセンスです。
主人公トンカチ、犬のサヨナラ。
ねこのヨジゲン。くまのブンブン。アライグマのトマト。
そして花将軍と馬のシューテンサック。
他にもモシモシの森、何でも見えるが丘、アメフラシの木と水たまりのジャボチンスキー。
忘れられない名前が山のように出てきます。
ちなみに絵本屋さんにいるねこの名前はヨジゲンというのですが、この本から取りました。
読み継がれる児童書というのはどうしても海外のものが多くなってしまいますが、日本にもこんなに素敵な児童書があるのです。ナンセンス文学という意味では『ふしぎの国のアリス』と似た構造と言えます。
挿絵は作者の舟崎克彦が手がけていて独特な味があり、物語をより魅力的にみせてくれます。
以前にも紹介したような気がしますがこの舟崎さんの『ぽっぺん先生シリーズ』も必見です!
それでは、最後に『トンカチと花将軍』の書き出しのことばを載せて終わりたいと思います。大好きな書き出しです。
「さあ、花をさがしにいこう、サヨナラ。」