広辞苑を読む。『あ』編 その3

広辞苑を読んで、気になった単語、初めて識る単語を深堀りしていきます。

本日は『あ』の続き、第三回です。

あおあらし(青嵐)

青葉の茂るころに吹くやや強い風。せいらん。

コメント・メモ

ちなみに、大辞林だと青葉を吹き渡る風。という説明でした。初夏に吹く木々をゆらす風のことですね。季語として覚えておきたいです。

あおいとり(青い鳥)

メーテルリンクの童話劇。一九〇九年刊。チルチルとミチルの兄弟が幸福を象徴する鳥を探してさまざまな国を夢の中で遍歴するが見つからず、目がさめて幸福の鳥は身近にいることを知る物語。

コメント・メモ

学生時代にこれを読んで、いろいろと考えさせられたことを覚えています。幸福の尺度は人それぞれで、しかも極めて主観的なものです。
アランの『幸福論』のような、雨が降ったら陰鬱とするのではなく、「結構なお湿りで」と考えろ、という、この脳内幸福完結主義、とでもいうような思考はとてもわかりやすく正論だと思いますが、僕はあまり好きではありません。雨がふってそれがイヤだったら、幸福になるよりも先に自分の気持ちに正直であったほうがよほど気持ちがよい、と思うのです。青い鳥のさいご、チルチルは叫びます。
「青い鳥はこんなに近くにいたんだ!ぼくたちのすぐ近くにいたんだよ!」僕はなんだか悲壮的に思います。

あおえしもさか(青江下坂)

葵(あおい)下坂のこと

コメント・メモ

なんのこっちゃ、と大辞林でしらべてみたら、

越前福井の刀工下坂市之丞康継が製作した刀剣をいう。初代康継は徳川家の御用鍛冶職となり、刀の中子(なかご)の部分に葵紋を切ることを許されたのでこの名がある。

と出てきました。
青江下坂は、葵下坂(あおいしもさか)を、戯曲や民謡でよびかえた名称のようです。察するに、そのまま言うと不敬になるからおはなしでは言い換えて使っていたのでしょうか。

あおからかみ(青唐紙)

  1. 織色の名。経(たて)は黄、緯(きぬ)は青。
  2. 襲(かさね)の色目。表は黄、裏は青。
コメント・メモ

唐紙はふすまや、主にふすまに使う美しい模様や金銀泥(でい)などがついている紙のことだそうです。たぶんこんなやつ。

青唐紙

はくび工房 http://www.hakubi-koubou.sakura.ne.jp/hakubi/sub3.html

青書生

若くて学問の未熟な書生。また、学生を軽蔑していう語。

コメント・メモ

青は、よく未熟の象徴的な色として使われますが、「そのときしか出せない色」でもあるわけで、成長すると共にその完成からは遠ざかる不思議な『症状』だなぁ、と思います。

青っ切り

茶わんの上べりに引いてある青い線まで酒をつぐこと。またそれをいっきに飲むこと。

コメント・メモ

酒の席で生きる雑学ですね。

あおび(青火)

きつね火。おにび。

コメント・メモ

ゆうれいと一緒に出てくる青白いあれですね。

あおびょうたん(青瓢箪)

未熟な青い瓢箪。転じて、顔色の青ざめた人をあざけっていう語。あおふくべ。

コメント・メモ

なんだか、ひょろっとしたもやしっぽい人やインテリっぽい人のことをあざける言葉だと誤認していました。

あおみなづき(青水無月)

(青葉の茂る頃だからいう)陰暦六月の異称。

コメント・メモ

語源もあいまって洒脱なかっこいい表現ですね。季語として覚えておきたいです。

と、本日はここまで。今回は青〇〇が多かったです。『あ』編、次は赤〇〇が多い予感。
あ編が終わったら、一度あ編の総集編をしたいな、と考えています。

バックナンバーはこちら

広辞苑を読む。『あ』編 その1
広辞苑を読む。『あ』編 その2

広辞苑読破状況 … 15/2772p