中島敦「山月記」を読む

こんにちは。ディレクターの菊地です。ここの所仕事関連の固い本ばかり読んでいて「あ、なんか別の潤いが欲しいな」と思い、新年の頭に、中島敦の山月記を読みました。

 

山月記とは?

『山月記』(さんげつき)は、中島敦の短編小説。1942年(昭和17年)に発表された中島のデビュー作である。唐代、詩人となる望みに敗れて虎になってしまった男・李徴が、自分の数奇な運命を友人の袁傪に語るという変身譚であり、清朝の説話集『唐人説薈』中の「人虎伝」(李景亮の作とされる)が素材になっている。『山月記』の題名は、虎に変わった李徴が吟じる詩の一節「此夕渓山対明月」から取られている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

Wikipediaを読んで知ったのですが山月記って中島敦のデビュー作だったんですね。初めて知りました。

いやぁ、久々読んでみたのですが、いやぁ元気が出ました(笑)。非常に短い作品ですが、文章にスキがなくて、展開がドラマチックでも(だって人が虎になるのですから)違和感なく感じ取れるのが凄いなと。

まず、たまげたのが冒頭の800字程度で主人公の李徴が発狂するに至るまでの数年の経緯を語るのですが、たった800字で人が発狂する所以を語り切ってしまうという、その文章の密度に感動しました。小説に限らずですが、創作物って時間の経過をどのようにでも扱えるわけで、1分を延々長い描写で語ることもできれば、この山月記のように数年を800字程度で描くこともできる。これ人がどのように理解するかということを考える我々の仕事にも繋がる所があるなぁと。そんなことを思いました。

 

あと、感動したのは李徴が自分が、なぜ詩人として大成するに至らなかったのか

虎になったあとに、とつとつと語る場面

己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨

に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間にすることも潔ぎよしとしなかった。

いや、これ真理だよなぁと。戒めとして気をつけないといけないと思いながら物語として「せつないなぁ」と。短い読書体験でしたが、とても得るものがありました。

山月記おすすめです。よろしければどうぞ。