春木 世覇はるき せいは
花に嵐のたとえもあるさ
さよならだけが人生だ
本に囲まれ拗らせた子供時代。
子供の頃から、本を読むのが好きでした。中学受験をすることが決まり、勉強部屋に押し込まれ問題集と向き合っていた日々で、国語の問題集の文章を読むのが一番の娯楽だったことも、本好きに拍車をかけました。両親ともに読書家だったこともあり、家にはジャンルごとにわかれた本棚があり、勉強をサボってこっそり本を読むことはいくらでもできる環境でした。
だからでしょうか、自然と自分も本を書きたい、と思うようになりました。
夏目漱石に出会い、精神的に向上心のないものは馬鹿だと思いました。
太宰治に出会い、物書きは不健康なアウトローでなくてはならないと思いました。
寺山修司に出会い、なんとしても家出をしなくてはならないと思いました。
そんなわけで、いろいろと拗らせた文学青年だった春木青年は、日本ではないところで日本文学を学びたいと思い、とあるカリフォルニアのカレッジに入学しました。
書きためた文章をWebに載せたり、詩のオンラインコミュニティを運営したりする日々。
結局、学生時代に目指した作家デビューは叶わないまま、大学を卒業して日本に戻ることになります。
全て、いい小説のネタ。
卒業後、独学でDTPデザインを学びながら、アパレルのECサイト運営のアルバイトをしていました。まったく知らないレディースファッションを学び、コピーライティングに勤しみました。
そのままグループ会社だった小さな出版社に入社、編集業務を経験して転職しました。ITベンチャーでのメディア運用、広告運用などの経験を経て独立を決めました。
独立は25歳の冬でした。世界を変えたいわけでもなく、新しいアイデアにあふれていたわけではなく、心の中にあったのは小説のいいネタになるかな、という想いでした。
だから、起業してすぐにいろいろなメディアで取り上げられても、その後挫折して三畳一間での生活を経験しても、心の中にうっすらあったのは、小説のいいネタになるかな、ということでした。ほかの起業家に比べて、精神的にちょっとしたズルをしていた形です。
とにかく、小説を書く、という欲求を昇華する方法を探し続けていました。
できることが、イッパイアッテナ。
イッパイアッテナの構想は、起業6年目くらいからうっすら持っていました。実際に設立のきっかけとなったのは大学からの友人であった共同経営者がユーチューバーになったことです。
自分の知らぬ間にすっかり有名ユーチューバーになっていた彼と袂を分かつ形で、けれどもたくさんの出会いと仲間に助けられる形で、28歳から8期続けた自分の会社を抜けて、イッパイアッテナを立ち上げました。
イッパイアッテナはWebデザインの会社です。
関わるたくさんの会社の問題をWebの力で解決する会社です。
僕は、僕のクライアントのために、問題を整理し、解決方法をデザインします。そのためのアイデアは、僕が出会ったたくさんの本の中から取り出してきます。ぎっしり詰まった頭の中の本棚が僕の武器で、僕の価値です。
あらゆる場面で、僕は本に助けられ生かされてきました。女の子の口説き方も、ビジネスの仕方も、子供の育て方も、僕が発する言葉は、僕の言葉ではなく、僕がキレイだと思った本のお話です。
だからこそ思うのは、一冊の本のような在り方をしたい、ということです。
書いてあることは変遷せず、読み手によっては受け取り方が違い、願わくば良書だと評価される、そんな在り方がいいな、と思うのです。
魔法使いが色とりどりの魔法を使うように、ことば使いになっていろとりどりの言葉でデザインをしていく。イッパイアッテナは、そんな、人によっていろんな色に見えるような会社であってほしいと思います。
どんなことができるの?って聞かれると、イッパイアッテナって応えます。
好きのスパイラルで世界を幸せにする。
やりたいことはたくさんあります。その中で決めているのは、
イッパイアッテナのデザインの力を、もっともっと業界内外に発信していくこと。
これはデザインバウムというマッピングメディアを作ることで成そうと思っています。
いくつかのWeb関連事業の0→1、0〜10くらいを作って、100とか1000とかにしてくれる会社にバイアウトすること。これもいくつかプロジェクトを始動させています。
その次は、デザインの力を武器に、成長しそうな会社に投資して、その中でのWeb関連の問題解決をイッパイアッテナで行うこと。
イッパイアッテナのデザインの力があれば、もっともっと世に出ていける画期的で素敵な会社がたくさんあると思っています。
イッパイアッテナの次のステップは、そんな企業をより内側から助けられるような形でのデザインだと思っています。
好きなだれかを幸せにすると、自分が幸せな気持ちになります。好きを返すことで、相手がまた幸せになります。そうすると、その相手がまた好きを返したくなる‥。
そんな強固で素敵なスパイラルを、イッパイアッテナの手が届く範囲の世界の中で構築していくことが、僕のこの先10年での目標です。
さよならだけが人生だ
僕は、僕自身の生き方と、イッパイアッテナの在り方が、一冊の良書のようであればいいと願っています。
寺山修司曰く、生きることは、出会うことです。
イッパイアッテナというハコの内外で出会うすべての人との出会いが、僕たち自身をデザインし、適切で正解なデザインを生みだしていきます。
花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ
この井伏鱒二の名訳を、学生時代から変わらない僕の座右の銘として改めて記しておければ、と思います。
花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ。
やりたいことを、イッパイやって、
関わるひとが、イッパイしあわせになって、
そんな人生と世界に、ちょっとでも近づけられたら、きっと楽しいですよね。
2022年1月24日
春木 世覇
春木 世覇
代表取締役
株式会社Joy 代表取締役CEO プロデューサー 作家
春木 世覇(はるき せいは) 1983年9月11日生まれ。株式会社ippaiattena代表取締役、Webプロデューサー、作家。桐朋高校 卒業。カリフォルニア州Sierra College 卒業。出版社、ITベンチャーを経て、25歳で独立。こどもの名前の由来を絵本にするサービスを提供する会社を立ち上げる。その後、金融系メディア、WEBサイト企画・制作サービスなどを経て、2019年に株式会社イッパイアッテナを設立する。知識と教養と文学を愛している。