“ふつうじゃない”がふつうにある
“ふつうじゃない”がふつうにある

山本 由紀やまもと ゆき“2023卒業

思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。

ふつうの生涯を送ってきました

アニメ鑑賞とお絵描きばかりの幼少期

ふつうの生涯を送ってきました。

私は一人っ子で鍵っ子だったので、1人の時間が多い幼少期でした。
「勉強しとけ」と言われることも無く自由に1人でいる間は、空想に浸り、アニメを観ては漫画を読み、その感動を元にイラストや漫画を描いてるばかりの幼少期でした。
クラスに必ず1人はいるような、オタクっ子だったと思います。

また、描いた絵を誰かに見てもらいたかったので、当時小中学生向けのホームページ制作サービスを使って、自分のイラストをweb上に載せていました。
HTMLタグに触れ少し学んだのもこの頃で、最初はfontタグで文字を装飾したりする程度でしたが、そのうち<fream>を使ったサイトを作って公開したりもしていました。(当時はHTML4とかでした)

そんな私の将来の夢は長いこと「漫画家」を主張していたのですが、中学生の時に祖母にその話を初めてしたら、「そんなので食べていけるわけがない」と一蹴され、諦めてしまいます。

ソロプレイの経理になる

祖母の言葉を受け、「好きなことだけでは食べていけない」と解釈してしまった私は、漫画家の夢を諦めてしまいます。

高校の進学時に改めて将来を考えた時に、まだ漫画家になろうと思っていた頃をふと思い出します。

そういえばwebサイトを作っていたっけ、と。

そこから調べてみたら、どうやらwebデザイン職があるらしい。
絵描くのが好きだから相性良さそう、何よりデザインって楽しそう。

その方向で就職先を探すのですが諸々事情があってうまくいかず、
結局父が代表を勤める運送会社で「長く勤めてくれていた経理が辞めて後釜に困っている」という父の誘いに乗り、経理を勤めることになります。

そこでは経理は1人だけ、すでに前任者は辞めてしまっていたので引き継ぎもほとんど受けられず、経理事務のひと以外で経理のことがわかる人も皆無。
私自身も経理はまったくの未経験だし、運送会社なのに、当時は運転免許さえない。

質問内容がわかる人もいないし、確認してくれる人もいない。
ならば自分で調べて解決してやっていくしかない。

この時から仕事は基本一人でこなす、ソロプレイヤーとしての仕事のやり方が根付いていきます。

山本 由紀 山本 由紀

事業承継のつもりがまさかの転職

そのうち後継者問題が出てきて、自分1人だけじゃなく会社のことも考えなければならなくなってきた頃。

経理を通して「運送会社だけで儲かるのは難しい」と日々痛感してく中、事業承継後に何か運送とは別の業種で業績を上げられないかと考えていた時に、ふとweb制作で何かできないかと漠然と思いました。

当時、事業承継までは10年近くあったので、まずは知識をつけつつ人との繋がりを持とうと思い、社会人向けのwebデザインスクールに通い始めます。

当然、転職は考えていませんでした。

しかしその卒業制作発表の前日、ひょんなことから会社を辞めることになります。
私にとっては根深い問題なのですが、世間から見ればただの親子喧嘩です。
そこはどうか、察してください。

突然の転職活動をすることになり焦りましたが、元々web制作が進路希望だったのだからラッキー!と、転職活動をします。
そこで色々なご縁を経て、縁もゆかりも無い吉祥寺に会社を構える、イッパイアッテナに入社をするのでした。

ソロプレイからの脱却

業種も業態も違う異業種へ未経験からの転職だったので、環境についていくのも大変でしたが、一番驚いたのは、ディレクターは想像以上にコミュニケーションスキルが必要、ということです。

コミュニケーションスキルといっても、「コミュ力」のイメージのように、
誰とでも分け隔てなく仲良くなれるといったことではなく、相手と意思疎通が正しく図れる力を指します。

これまでは1人で仕事をしていたので、人に自分の意図や思いを伝えたり説明をすることをしてこなかったのですが、
ディレクターというお仕事は人から人に伝えることを常に行います。

お客さんからの依頼内容を理解する。
依頼内容を整理して、お客さんと方向性の合意を取る。
デザイナーさんにデザインの方向性を伝える。
仕上がったデザインの意図を、お客さんに伝える。
サイトの仕様を理解して、それをコーダーさんやエンジニアさんに伝える。

ひとつの案件を進行する上で、たくさんの人とお話をします。
お客さんと決めたゴール地点まで正しく伝えないと、着地点がずれてしまいます。

いつだったかディレクターという職ってなんですか?と先輩ディレクターに聞いたことがあります。
「翻訳すること」だそうです。
本当にそうだな、と思います。

誰かに何かを伝えることは人と関わる上では当たり前の行動ですが、
幼少期を通して1人が多かった私にとっては、高度な技術だと思っています。
そしてそれは私が今まで生きていく上で、間違いなく足りてないスキルでした。

たまに、前の職場で一人前な気になっていた私に、これは天からの試練ではないのか?と本気で思うことがあります。

人とともに歩み生きる

案件の進行をしていて、人に何かを伝えることの大切さや、思いやりや気遣いの大切さを感じます。
正直転職するまでは、ひとりで生きていけると思っていたのですが、
案件を通して色んな人にご依頼をしたり質問したりしていると、自分ひとりじゃ何も出来ないことに気付かされます。
それは人生においても同じだと思うのです。
やっぱり誰かに頼らないと生きていけない。

このことに気が付かないうちから会社を継いでたらもっと大変だったことでしょう。
ワンマン経営だった父と同じ轍を踏んでいたかもしれません。

また、さまざまな人と関わることで明らかに自分の世界は広がりました。
色んな価値観に触れるので、自分の中の価値観や常識が通用しないことが当たり前にあって苦しい思いをする時もあるのですが、そこに対してネガティブな気持ちはありません。

人に何かを伝えることに苦手さやハードル意識は相変わらずあるのですが、
ソロプレイ思考の自分が、ソロプレイでは決して成り立たないディレクターという職に就けて、
その職を通して人とともに歩んで生きていく大切さやそのためのスキルを学べるということは、私にとって人生の試練でありつつ、幸福なことでもあると思うのです。

2023年4月7日
山本 由紀

山本 由紀

Profile

山本 由紀

山本 由紀

ディレクター

山本由紀(やまもとゆき)1991年3月5日生まれ。埼玉出身。ディレクター。元々は運送会社で運行管理者と経理をやっていた。趣味はロリータファッション。小鳥が好きで、文鳥とオキナインコを飼っている。

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