堀江 風人ほりえ　かざと

少年の日の思い出-ヘルマン・ヘッセ

ふつうの生涯を送ってきました。

幼少期に熱中したのはセミの抜け殻集めです。
親に買ってもらった虫取り網を振り回し、近所の公園をハシゴして毎日セミの抜け殻を集めていました。セミ自体は気持ち悪いので集めませんでした。黄金色に輝くセミの抜け殻を探していました。
本当はかぶとむしを捕獲したくてうずうずしていたのですが、神奈川育ちのシャイボーイ・シティー派なので、近所にかぶとむしは生息しておりませんでした。
セミの抜け殻を熱心に集めていたのは、これを材料にしてたこ焼きを作ろうと考えていたからです。イメージとしてはたこの代わりにセミの抜け殻を入れる想定です。ご理解いただけましたね。
この企ては危機を察した両親により阻まれることとなりました。自室に大切に保管していた大量の抜け殻は、粉々に粉砕されたのか自然に返されたのか、知らないうちに姿を消していたのでした。

ドリア風ミラノからの卒業。

大学3年生の春休みごろ、将来について考えました。自分は社会に出て何ができるのか考えました。
しかし今までセミの抜け殻しか集めてこなかった自分が、社会に出てできることは何もありませんでした。
やはり大学卒業後も、セミの抜け殻を集めて生きていくしかないのかと諦めていた時、Webデザインスクールというものの存在を知りました。当時の僕は就職活動もせず人生を持て余していたので、少しでも心の慰みになればと思い、入学してみることにしました。
贔屓目に見ても、真面目に通学していたとは言えません。卒業要件とされていた課題が6個くらいはあったのですが、もれなく提出していなかったのです。唯一真面目に取り組んだのは卒業制作だけでした。
そんな僕の卒業制作発表を見た弊社の方たちから、何を血迷ったのか一緒に働いてみないかというお誘いをいただきました。
当時まだ大学在学中でしたが、これを逃したら某ファミレスの厨房で、ドリア風ミラノを作り続けることになると思い、試しにアルバイトとして働くこととしました。

吉祥寺本町で考え中。

だいたい僕は今23歳なのですが、12歳のころにはもうわかっていました。
それは自分は人付き合いが苦手な部類の人間だということです。
学生時代は、「どの仕事だったら極力人々と触れ合うことなく平穏に過ごすことができるのだろう」とずっと考えていました。
そういうことは今でも少し考えます。ただ、既に周りの環境は、そんなことも考えていられない状況になっています。今の僕が業務中に考え続けなければならないことは「どういう対処をすれば、相手とのコミュニケーションを平穏に終えられるのだろう」という一点です。
人間は成長しますね。前向きになりますね。もうセミの抜け殻を追いかけていた頃の僕ではありません。
現実の世界でこれからやっていくわけです。

ぼくは空想しプランを立てる。

仕事に関わらず、やりたいことはたくさんあります。むしろ仕事以外のことで頭がイッパイです。
ピアノを弾けるようになったり、地元の図書館の本を朝から晩まで読み漁ったり、バイクに乗って日本中の景色を撮りまくったり、みなとみらいで釣りをして管理人さんに怒られたり、投資で失敗して大変な目にあったり、セミの抜け殻でたこ焼きを作ったり、エトセラトエトセトラ。
常にいろんな空想をしているので、仕事が手につきません。
こういう空想のどれかひとつを具現化して、日々の糧を得られればよいなあと思います。これらが取らぬ狸の皮で終わらぬよう、まずは日々の業務に励まねばなりません。

逾ｿ螢ｽ諛臥ｩｩ（お使いのパソコンは正常です。）

ここまでは会社から渡された既定のテンプレートに従い文章を作成してきました。
テンプレ通りにいくと、この章は「座右の銘＆まとめ」とのことです。
僕は困りました。なぜなら自分の座右の銘を紹介したり解説したりしたくないからです。
そこで機転を利かせ、あえて文字化けさせてみることにしました。
Web制作会社っぽいですね。未だかつて文字化けした文字を使いこなす制作会社は存在しなかったでしょう。弊社だけではないでしょうか。
かろうじて読めるカタカナ箇所をつなげると「ｿｽｩｩ」です。我々はWeb制作会社ですのでソース（コード）のことを連想させます。さすがコーダーですね。座右の銘を文字化けさせても関連単語を連想させるという離れ業を決めてしまいました。これは高得点ですね。これにはさすがの上司の方々も、おもわず相好を崩すことでしょう。

ちなみに弊社の名刺には本人の座右の銘を記載するという、他社の追随を許さぬ遊び心満載のおしゃれなワンポイントがあります。
気になる人は是非全員と名刺交換して確かめてみてください。さすがに文字化けしている人はいませんのでご安心ください。そこまでアナーキーな会社ではありません。
僕の名刺もきっと文字化けしていません。ご確認の程よろしくお願いいたします。

2023年2月15日
堀江 風人