“ふつうじゃない”がふつうにある
“ふつうじゃない”がふつうにある

矢田 浩太郎やた こうたろう“2022卒業

鵜の真似をする烏

“ふつうじゃない”がふつうにある

よく怪我をする子供でした

犬に噛まれたり、車に当たって吹っ飛んで骨折したり、猫に目を突かれたり、宙返りをして右足の骨を2本同時に折ったり。
両親からは慣れて、ちょっとやそっとじゃ動じないようになったと言われたものです。

体の内から来る痛みには弱く、腹痛とかによく苦しんでいますが、外からの痛みには割に強くなったように思います。

今に続く会社の美風に助けられて

ある施設から這う這うの体で脱走して、さあ、これからどうしよう、と思ったときに中高以来の悪友であった弊社代表の春木から、うちで働いてみてはどうか、という誘いを受けたのが、イッパイアッテナの前身にあたる会社でした。

パソコンとは向き合ったことがあるものの、WEB開発は全くの未経験の自分がそうそううまく行く筈もなく、すわ再び脱走か!という寸前までいったのですが、結局他の社員の人たちの人の良さで自分の抱えていた仕事での困窮を笑い飛ばされて、ディレクターを続けることになりました。春木としては当初、営業面での働きを期待していたようなので、当てが外れた部分もあったかと思います。

その後も、うまく行かず苦労する場面は何度となくあったのですが、他人への労りや、辛さを笑いに替える姿勢といった、今に続く会社の美風に助けられて、何とかかんとかやってきました。

ともすれば疎まれても仕方ない立場にあった自分が、本当にたくさんの厚意に与れて、また、成人してから職場でまさか友人と呼べる人たちとの新たな出会いがあるとは期待してもみなかったので、文字通り有り難く、そのふんわりした善意がイッパイアッテナの強さであるように思います。

矢田 浩太郎 矢田 浩太郎

敬意と善意を付け足して

筋が通っていること、公平であることというのは、普遍的な価値観なので、他人とも分かち合えると思っています。

ディレクターは、社内でのデザイナーさん・エンジニアさんとのミーティングや、社外でのお客さんとのやり取りを通して、意思決定を重ねていくことでプロジェクトを進める業務です。皆それぞれが多様な価値観を持ってプロジェクトに関わるので、当然、次にどうすべきか、というタイミングでコンフリクトが起きることも時にあります。

その時、ここまでの筋が通っていることを振り返り、積み上げることで、プロジェクト参加者に納得のいく決定・判断の道標を指し示すことがディレクションだと思っています。

ここまで偉そうに語ったものの恥ずかしながら、正直、上長の菊地のウケウリで、自分でも、十全にやり遂げられているか、というと自信がないのです。ただ、高尚過ぎる理想と現実的過ぎる折り合いの中間にある、聖俗ないまぜになった指針の有り様が美しいな、と感じています。

結果として、それがお客様の満足につながった時、ありがとうの一言を頂戴した時に、また次のプロジェクトに向かう力が湧いてくるように思います。

あと、有り体に言ってしまうと、受託開発というのはモノとカネの交換ですが、それだけでは荒んでしまうので、都度のやり取りで一緒に敬意と善意を付け足して渡したいと思っています。もし皆さんに届いていたら、嬉しいです。

鵜の真似をする烏

名刺には、「鵜の真似をする烏」と入れています。名刺に座右の銘を入れろ、というので名言・諺をいろいろ見て回ったのですが、なかなかしっくり来るものがなく、困った末に目に入ったのがこの諺でした。

川鵜の真似をしようとして烏が溺れる、「身の程を知れ」という意味の諺なのですが、自分には、川鵜を見ていたら「自分も泳いでみたいな」と思ったカラスの無謀さが、とても愛らしく好ましいものに思えたからです。

洗練されたもの、完成したものに憧れて、挑んでみたら結局至らず、己を恥じて照れて笑う、その繰り返しが糧になり、縁を生むと思うので、カラスの弱さを受け入れる余裕を持っていたいと思います。

そういえばこの前、ネットでちょっと泳げてるカラスを見ました。えらい。

2022年3月8日
矢田 浩太郎

矢田 浩太郎

Profile

矢田 浩太郎

矢田 浩太郎

ディレクター

矢田 浩太郎(やた こうたろう) 1983年12月28日生まれ。ディレクター。ボルダリングが好き。最近なかなか登りにいく時間を作れないのが悩み。

“ふつうじゃない”がふつうにある